講演会(トークセッション)『ばっちゃんと語ろう』

NPO法人食べて語ろう会では、令和6年3月9日(土)広島弁護士会館において、久しぶりの 中本 忠子理事長登壇によるトークセッションを開催しました。
当日は、おかげさまで170名の参加があり、会場は満員となりました。

今回は、2017年1月にNHKスペシャルで放送された、ドキュメンタリー番組『ばっちゃん~子どもたちが立ち直る居場所~』を視聴しながらトークセッションを展開しました。
トークセッションは、番組の当時のプロデューサーである 伊集院 要さんと、「ばっちゃん」こと中本理事長が、番組制作に至った経緯から子どもたちへの取材秘話や撮影時の裏話などを語り、当会顧問である 稲葉 保さんがユーモアも交えながらコーディネートしていただき、アンケート調査では「ほぼ大満足」という評価が大半を占めていました。

第一部では、中本理事長を中心に食べて語ろう会の活動状況を中心に、当時の苦労話や印象に残った子どもたちの話で盛り上がりました。
第二部では、流されたビデオで特に番組の中で反響の大きかった、「マコトくん」が少年院から退院し社会に出ていく実際の姿を追い求めていました。
マコトくんは、退院した際のインタビューにおいて『(社会に戻ることが)怖い。』と語り、伊集院さんからは少年たちの多くが社会復帰に不安を感じていることと、その不安解消のための居場所確保と周囲の人々の支援や見守りの大事さについて語られました。

最近の青少年を取りまく環境と犯罪傾向の変化について話の中で、中本理事長から最近はネグレクトを受けた子や普通の家庭で育った子どもたちが犯罪に関わっていることが多いと話があり、伊集院さんからは,一般的な報道として、犯罪は起こったことに注目されがちであるが、なぜ犯罪に至ったかがあまりクローズアップされていないが、我々が見えていない所に少年たちの悩みがあり、そこが課題でもあると語られました。
また、最近の青少年は多くの情報に接する機会が多く、反則(法律に触れる)になるライン(境界線)が常に動いており、子どもたちはその境界線をよく理解しているとこと,昨今話題となっている闇バイトに関わった青少年たちは、どうやったら警察に捕まらないかなどの方法をよく知っているが、世の中の人の方がそれを掴みきれていない状況があるとのことでした。

第三部では、マコトくんが「基町の家にすぐにでも帰りたい,食堂ではなく家として」と述べています。
「いつでも帰ることができる場所」「自分を受け入れてくれる人」が居場所であり、うまくいかない時に一緒にいてくれる人がいて家庭的な見守りをしてくれる、そういった場所や支援者が必要となるとも話もありました。
伊集院さんからは、いま問題となっている「トー横キッズ」たちも、家に居場所がなく自分たちを受け入れてくれる場所に参集しているのが要因であるとのことです。
また、稲葉さんからは青少年だけでなく、おとなも居場所を求めているのではないかという話も出ました。
なお、マコトくんは現在結婚して子どもも産まれ、ばっちゃんが名付け親になったとの近況報告もありました。

終わりには、稲葉さんから講演会開催日の翌日3月10日が中本理事長の誕生日であり、90歳になることを伝えられ会場から『おめでとう!!』コールが上がりました。
さらに、子どもたちに対してまだまだやりたいことが多いとも語られる理事長に対し、「ばっちゃん型支援」と名付け、そこに行けば助けてくれる居場所づくりをこれからも続けていただきたいと締めくくられました。
1月の開催予定を3月に繰り延べさせていただきましたが、たくさんの皆様にご参加いただきましてありがとうございました。

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